アメリカ鉄道巡りC

ストラスバーグ鉄道
Strasburg Railroad

 

 

 

 


場所:ペンシルベニア州ストラスバーグ

アクセス:アーリントンからは車で3時間程度

 

アメリカ東海岸の鉄道関連施設の中で、最も優れたインフラを持つのはどこかと言われると、「ストラスバーグ」と答える人は多い。ストラスバーグがどこかというと、あの「ランカスター郡」の真っ只中にある。え?「ランカスター」ってどこかって?ご存知ない方は、ハリソン・フォード主演の映画「刑事ジョン・ブック『目撃者』」をご覧下さい。「アーミッシュ」と呼ばれるオランダ系移民が多く住むペンシルベニア州南東部の丘陵地帯である。アーミッシュの人たちは、今でも独特の衣装を身にまとい、馬車で移動し、電気のない生活を送っている。洗濯機から乾燥機に直行するのが一般的なアメリカで、彼らは自宅の裏庭に洗濯紐を張り、洗濯物を天日乾ししている。

 

そんな独特の風俗習慣を持つアーミッシュの土地も、今では一大観光地として整備されていて、全国から多くの観光客が訪れるようになった。ここの見所といえば、アーミッシュの手工芸品の他に、チョコレートで有名な「ハーシー」の博物館や遊園地、アウトレットモールがあり、プレッツェルも有名だ。だが、鉄道マニアにとって垂涎の的は、ストラスバーグの鉄道関連施設だ。主な施設を紹介しよう。

 

l        ストラスバーグ鉄道(Strasburg Railroad)

l        模型列車博物館(The National Toy Train Museum)

l        ペンシルベニア鉄道博物館(Railroad Museum of Pennsylvania)

l        模型列車車庫(Choo Choo Barn)

 

それだけではない、Choo Choo Barnの隣りには模型列車のクラフトショップがあって、Choo Choo Barnで所狭しと走り回る模型列車に感化されたマニアが模型を作るための材料を豊富に揃えている。子供達に大人気の「機関車トーマス」のグッズは、ストラスバーグ鉄道駅構内のトーマス・ショップと、Choo Choo BarnのすぐそばにあるThomas’ Trackside Stationでいろいろと揃えることができる。日帰り訪問ではもったいないという人には、模型列車博物館のすぐそばに赤い乗務員車モーテル(The Red Caboose Motel)がある。そして、恐るべきことに、ここで紹介した全ての施設が、半径1km以内に集中しているのである。

 

こうした鉄道インフラの中心的存在が、「ストラスバーグ鉄道」なのである。

 

ここの鉄道の売りは、なんといっても片道20分の蒸気機関車の旅である。季節にもよるが、多い時には1日7回、客車を牽いた蒸気機関車がストラスバーグの田園地帯を走る。車窓からはアーミッシュの人々の生活を遠くからではあるが垣間見ることができる。冬は寒々とした丘陵地帯も、夏にはトウモロコシやタバコの緑に覆われ、1年の間に何度訪れても車窓から見える風景は違う。それに加えて、毎年5月と9月、12月には、本物の「機関車トーマス」が客車を牽いて走るイベント「トーマスと外へ飛び出そう(A Day Out with Thomas)」が開催され、10月の夜には、カボチャをくり抜いたJack-O-Lanternを沿線の木の枝にぶら下げてお化け風情を出した「ハロウィーン列車」、12月後半には「クリスマス列車」という企画が開催される。僕はワシントン近郊のトレインライドはかなり体験しているが、ストラスバーグほど牽引する機関車と風景がマッチしているところはない。我が家に訪問客があれば必ずご案内したいと思う施設だ。

 

僕たちは2001年11月に初めてストラスバーグを訪れて以来、既に5回この列車に乗っている。