ストリートカー紹介@

セント・チャールズ通り路面電車
St. Charles Streetcar

 

 

 

 


場所:ルイジアナ州ニューオリンズ

 

ニューオリンズの観光の目玉といえば「フレンチ・クォーター」である。湿度が高い南部の退廃的なムードが漂うこの古びた町並み、そして真夜中まで繰り広げられる喝采、ジャズ、ブルース、ケイジャン音楽の生演奏が通りに流れ、道行く観光客は現実世界から逃避するが如く、アルコールに酔いしれる。時計の針が12時を回っても、喝采は途切れることはない。そして、フレンチ・クォーターの朝は遅い。

 

さて、そんな朝、取り合えずお決まりパターンとしてはディケーター・ストリートの元祖「カフェ・デュ・モンド」か、フレンチ・クォーター内に2、3店舗ある「カフェ・ベニエ」でカフェオレ&ベニエを食べる。そして、次に何するか考える。時計の針は未だ午前9時。博物館も、お土産物店も開いていない。そんな時、セント・チャールズ・ストリートの路面電車に乗って、アップタウンの高級住宅でも見物して時間をつぶすのが得策だ。

 

セント・チャールズ・ストリートの路面電車は、フレンチ・クォーターに隣接するキャナル・ストリートで乗車することができる。フレンチ・クォーターのバーボン・ストリートからキキャナル・ストリートを渡ったところに停車場がある。1ドル25セントを払って乗車する(「地球の歩き方2000〜01年版」には1ドルと書いてあるが、値上がりしているので要注意!)。路面電車はキャナル・ストリートからセント・チャールズ・ストリートに戻り、リー・サークルを経由してそのままボクたちをアップタウンへと案内してくれる。セント・チャールズ・ストリートは、路面電車の線路を中心に、両側に車道があり、さらにその外側に樫の巨木が緑の陰を落とす歩道があり、さらに大きな邸宅が立ち並ぶ。路面電車の車道のすぐ脇は芝生で整備されており、深南部のハイソな女性ジョガーが、刺激的なコスチュームで走っていたりする。

 

20分ほど乗り続けると、「南部のハーバード」と呼ばれるテューレイン大学とそれに隣接する女子大学ロヨラ大学がある。若者が溢れるエリアだ。そしてさらに数分すると、路面電車はセント・チャールズ・ストリートを右折し、キャロルトン・アベニューへと入ってゆく。この辺りは「リバー・ベンド」と呼ばれ、すぐそばにミシシッピー川の土手が見える。リバー・ベンドあたりで下車し、今来た道を歩いてみよう。疲れたらテューレイン大学のカフェで休憩するとよい。

 

時々情報が古かったりもする「地球の歩き方」から引用させていただくと、「現在使われている35両の車両は、1922〜24年の間にBrill & Perley Thomas Companyが建造したものばかり。150年以上も営業を続けている世界最古の現役路面電車」なのだそうだ。また、この路面電車は、ミシシッピー州出身でニューオリンズに長く住んだテネシー・ウイリアムズの戯曲「欲望という名の電車(A Streetcar Called Desire)」の題材ともなった。

 

そんなこんなでアップタウンをぶらぶらして、気が付くと時計は午前11時。そろそろ昼食のことを考えながら再び路面電車に乗って、セントラル・ビジネス・ディストリクト(CBD)にまで戻って来る。目指すレストランはケイジャン料理の有名店「ミショールズ(Michaul’s)」。しかし、ここでまたしても「地球の歩き方」の間違い発見!「ミショールズ」の場所は、「地球の歩き方」の冒頭に添付されている大判の地図で示された場所から1ブロックだけリー・サークル側にずれている。しかも、ランチタイムも開店しているが如き記述も間違いで、閉まっていた。お陰で、ボクたち一行は、そこからさらに数ブロック南下し、同じくケイジャン料理の老舗レストラン「ムラーツ(Mulate’s)」まで歩くことになってしまった。既に午前中で大いに疲れた。

 

(2003年5月1日)