アメリカ鉄道巡りQ

グランドキャニオン鉄道
Grand Canyon Railway

 

 

 

 


 

場所:アリゾナ州ウィリアムズ

 

アクセス:アムトラックのウィリアムズ駅が始点

 

帰国前の駆け込み旅行として、うちのママはずっと「カナダに行きたい」と言い続けていた。なかなか詳細が決まらず、7月に入ってしまったある日、ママはカナダの情報収集のためにAAA(全米自動車協会)のサービスオフィスに出かけた。当初の目的どおりカナダ東部の宿泊観光情報や地図を入手し、ふとカウンター横のパンフレットを見ると、蒸気機関車の写真が目に飛び込んできた。それが、グランドキャニオン鉄道と2泊3日の宿泊パッケージであり、この夏のアリゾナ家族旅行の発端だった。

 

カナダ東部、当初ボクたちが考えていたノバスコシアを旅するのに、最も大きな懸念材料は子供のアトラクションだった。土地勘がないためにノバスコシアに子供達を連れて行って子供達が喜ぶようなものがあるかどうかがわからず、それが詳細をなかなか詰められなかった理由だった。しかし、グランドキャニオン鉄道を核に日程を組めば、10日間ほどでアリゾナ州の主要観光スポットをある程度走破できる。ママもボクもある程度の土地勘があったし、ボクが調べてみたところではこのグランドキャニオン鉄道以外にも面白そうな観光鉄道がもう1つあった。これなら十分子供達にも満足してもらえる旅になると思った。即決であった。

 

パッケージツアーのアレンジは殆どママが自分でAAAでやってくれた。ボクたちは、ボルチモアからフェニックスまで飛行機で飛び、そこからレンタカーを借りて、フラッグスタッフ経由でウィリアムズに入った。ウィリアムズは市街地の西から東までを徒歩10分で歩けてしまう小さな町だが、ここがグランドキャニオン観光のゲートウェイであり、車を使うならI‐40号線をここで下りて北上するし、電車であればアムトラックをウィリアムズ駅で下車し、そこからグランドキャニオン鉄道に乗り換えてサウス・リムまで行くことができる。グランドキャニオン鉄道の終点はサウス・リムの観光拠点「ブライト・エンジェル・ロッジ」のすぐそばだ。

 

2泊3日の日程のうち、中日がこの日帰り蒸気機関車の旅に充てられる。勿論この蒸気機関車と下車した先で見られる絶景がこのツアーの目玉であることは言うまでもないが、実はこのウィリアムズという駅、非常にインフラが充実していて、駅構内にはギフトショップや鉄道博物館が設けられている他、プラットフォーム横には退役した蒸気機関車と乗務員車も置かれていて写真撮影の背景に持ってこいだ。また、駅舎横には「マックス&テルマ」というレストラン兼ギフトショップや、「フレイ・マルコス・ホテル」という乗継客向けの簡易ホテルが設けられている。(考えてみたらバンコク空港横の「アマリ・エアポート・ホテル」のようだと思ってしまう。)ツアーのパッケージは、このホテルの宿泊2泊分と、朝食、夕食各2回分のビュッフェ食事券、ギフトショップでの大人1人当たり20ドル分の割引券、その他周辺の観光スポットでの割引クーポン等がセットになっている。そして、肝心の列車の旅に当たっては、サウス・リム駅から西方の「ハーミッツ・レスト」方面でグランドキャニオンが展望できるスポットを3ヶ所ほど回るバスツアーとビュッフェ形式の昼食券がセットになっている。

 

パッケージとは別で、グランドキャニオン鉄道の列車の旅はいろいろなサービスが満載である。先ず、10時出発の前に20分ほどのアトラクションが駅構内のイベント広場で開催される。保安官と西部の荒くれのガンファイトである。片道2時間15分の旅の途中、各客車には乗務員が1名つき、スポンサーのペプシコーラの350ml缶をただで配布してくれるし、冷えたミネラルウォーターのタンクが設置されていて時々冷たい水を飲んだりすることができる。また、カウボーイ姿のギタリストが各車両をまわってフォークソングを演奏してくれる。帰路はもっと贅沢で、午後3時15分の出発早々、乗務員が冷たいウェットティッシュを乗客に配ってくれたり、また途中から略奪グループ3人が列車に乗り込んできて、さらにそれを追う保安官も乗り込んできてとどめのアトラクションを展開する。

 

ママによれば、これだけ付いて大人2人、子供2人で合計600jほどかかる贅沢なツアーなのだが、ボクもママもこれは十分元が取れるツアーだというので意見が一致している。真夏の暑いアリゾナ砂漠地帯を想像するとちょっと実際は違っていて、乾燥しているので日陰はそこそこ涼しいし、冷房などなくても客車の旅は窓を開けて外の風を入れるだけで十分だと思った。日差しだけはかなり強いので日焼け止めクリームは必携だ。ボクたちは真夏に訪れたけれども、この旅は四季のいずれの時期に訪れてもそれなりに楽しめるものだと思う。雪原を蒸気機関車が走り、雪に覆われたグランドキャニオンを見るのもそれなりに楽しめるのではないかと思う。

 

グランドキャニオン鉄道のウェブサイトはこちらから

AAA(全米自動車協会)のウェブサイトはこちらから

 

(2003年8月5日)