アメリカ鉄道巡りI

ゲイザーズバーグ鉄道博物館
Gaithersburg Railway Museum

 

 

 

 


場所:メリーランド州ゲイザーズバーグ

アクセス:アーリントンからは車で30分程度

 

2003年3月7日撮影》

 

ゲイザーズバーグは、地下鉄レッドラインの終点シェイディ・グローブ駅から少し北に行ったところにある。既に地下鉄が走る地域からは外れており、むしろ首都圏への長距離通勤路線MARCの駅で、シカゴ方面行きのアムトラックもここを通過して行く。古くは、ボルチモア・オハイオ鉄道の沿線で、五大湖方面からワシントンを経由してボルチモアまで繋ぐ物流の重要路線として賑わいを見せた。この地域への最初の入植は1723年に行なわれた。ゲイザーズバーグ駅は1884年開業である。

 

内陸からの農産物の中継基地として栄えたこの町も、20世紀末になると、ワシントンからメリーランド州中西部のフレデリックに伸びるハイテク産業の集積する回廊として大きく成長した。ダウンタウンから少し北に行くと、ロッキード・マーチン社の研究施設がある。ただ、ダウンタウンは昔のたたずまいをとどめていて、散策するにはとても雰囲気がいいように思う。

 

ゲイザーズバーグ鉄道博物館は、ゲイザーズバーグ駅に隣接する貨物倉庫を改装して作られたもので、別名を「ゲイザーズバーグ・コミュニティ博物館」ともいう。博物館というには規模はさほど大きくはなく、建物の中には、定番の模型列車がミニチュアの町や郊外の自然の中を走るという展示があり、主に20世紀前半に同駅で利用されていたと思われる駅の切符販売係の机だとか、切符だとか時刻表が展示されている。決して展示品の数が多いわけではない。

 

博物館の外に目を移すと。主にウェスト・バージニアで活躍していたという1918年製のバッファロー・クリーク&ゴーリーの14型蒸気機関車(写真参照)とボルチモア&オハイオ鉄道の乗務員車(カブース・トレイン)が屋外展示されている。ボルチモアの鉄道博物館に行くと無造作に何台も屋外に並べられている機関車や列車であるが、こうして歴史ある町並みの中に1台で置かれていると、なかなか風情があってよい。14型はワシントン近郊のメリーランド州で走っていた機関車では必ずしもないけれど、古い町並みに1つアクセントを添え、そこそこの集客に貢献しているような気がする。

 

ゲイザーズバーグ駅の構内は、コーヒーショップになっている。日本の鉄道駅と違って、アメリカの鉄道駅は利用者の多少に関わらずプラットフォームにベンチなど全く置かれていない。通勤にこの駅を利用する乗客は、列車の到着までのひと時を、この小さな駅の待合室でコーヒーをすすりながら暖をとるのであろう。

因みに、ゲイザーズバーグ駅のすぐそばはこのオールド・ダウンタウンの中心地であるが、その駅の向かいに「サミット・ステーション」というビア・レストランがある(写真参照)。詳しくは当HPの「ビール&ワイン」のサイトをご覧いただきたい。ここは、ワシントン界隈ではかなり有名な地ビールの飲めるレストランなのである。通勤帰りの1杯を、騒々しいワシントンではなく、こうして自宅の最寄り駅まで戻って来て、1人静かに飲むのもいいかもしれない。

 

まあ、ワシントンからさほど離れていないこともあり、そのうちに友人と連れ立って、「通勤帰りの1杯」を求めてやって来たいと密かに思っているところである。

 

ゲイザーズバーグ・コミュニティ博物館のウェブサイトはこちらから

 

(2003年3月8日)